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医療・健康コラム

公開日:2026.11.03

乳幼児の栄養シリーズ:母乳・ミルクは時間で?欲しがるときに?――授乳の間隔と量、夜中の授乳

カテゴリー:すべてのコラム

📋 まず結論

生まれて数日から出生体重に戻るまでの時期や、黄疸がある、体重の増えが少ないといった場合は、時間も見て、間隔が空きすぎないように飲ませます。

この時期を過ぎて体重が順調に増えていれば、母乳は赤ちゃんの合図に合わせ、早く欲しがったら飲ませて大丈夫です。

ミルクは回数より、1日に飲む量と体重の増えで考えます。缶に書かれた量を飲み切らせる必要はありません。

産院で「3時間おきに飲ませてください」と教わった方は多いと思います。外来では、生後3〜4か月になっても、夜中も含めて時間を決めて起こし、飲ませているご家庭にお会いすることがあります。この記事では、時間を見て飲ませたほうがよい時期と、赤ちゃんの合図に任せてよい時期を分けて整理します。

1.時間を見て飲ませたほうがよい時期と場合

生まれてすぐの赤ちゃんは、飲む力も母乳の量もまだ安定していません。米国小児科学会(AAP)によると、母乳の新生児は2時間ごと、1日10〜12回くらい飲むのが普通で、間隔は少しずつ空いていきます。ミルクの新生児は2〜3時間ごとで、1日8回が最低限の目安です。

AAPの黄疸のガイドラインは、欲しがるときに頻回に、24時間で少なくとも8回飲ませるよう勧めています。母乳の回数が1日8回より少ないと、黄疸が強くなりやすいとされているためです。

こうした目安から考えると、この時期の「3時間おき」は「これ以上空けない」ための目安です。次のような場合は、赤ちゃんが欲しがるのを待つだけでなく、時間も見て飲ませてください。

・生まれて数日から、出生体重に戻るまで(多くは生後1〜2週)

・黄疸が出ている

・早産で生まれた、体重が小さく生まれた

・体重の増えが少ないと言われた

・よく眠っていて、なかなか欲しがらない

早産の赤ちゃんや一部の病気がある赤ちゃんについて、AAPは医師が指示する時間での授乳が適しているとしています。体重が増えにくいときも、間隔を空けすぎず、起こしてでも飲ませるよう勧めています。

母乳をよく飲んで元気に育っているのに、生後2週を過ぎても黄疸が残る赤ちゃんもいます。これは「母乳性黄疸」と呼ばれ、AAPは母乳を続けてよいとしています。ただし、長引く黄疸にはほかの病気が隠れていることもあるため、1か月健診のころまで続く場合は、健診で相談してください。黄疸がある時期は、母子健康手帳の便色カードで、便の色も見てください。

2.体重が順調に増えてきたら、赤ちゃんの合図を見て飲ませる

お腹がすいたサイン、満足したサイン

お腹がすいてくると、唇をなめる、舌を出す、口を開けて顔を左右に向けて探す、手を何度も口に持っていく、といった動きが出てきます。泣くのは空腹の遅いサインで、泣き出してからでは落ち着いて飲みにくくなります。

満足すると、乳首から口を離したり、顔をそむけたりします。哺乳瓶は飲むのが楽なので、満腹でもこのサインを出さずに吸い続けることがあり、途中で休ませると満腹に気づきやすくなります。

泣いたり吸ったりするのは、空腹のときだけではありません。赤ちゃんは安心するためにも吸いますし、抱っこやおむつ替えで落ち着くこともあります。

母乳は、早く欲しがれば飲ませてよい

母乳は、飲ませた分だけ作られる仕組みです。授乳の回数を減らすと、母乳の出が減ることがあります。体重が順調に増えていれば、前の授乳から1〜2時間で欲しがったときも飲ませて大丈夫です。

日本の「授乳・離乳の支援ガイド」も、授乳のリズムが整うまでの時期は、赤ちゃんが欲しがるとき、お母さんが飲ませたいときには、いつでも授乳できるよう支援するとしています。授乳の間隔や回数が安定してくるのは生後6〜8週以降で、個人差も大きいとされています。

時間を決めて飲ませる方法と、欲しがるときに飲ませる方法を直接比べた研究はありません。それでも、回数が少なすぎると黄疸や体重の増えの不足につながり、母乳の出にも影響します。母乳を時間で区切る理由は乏しい、というのが当院の考えです。

ミルクは、1日の量で考える

ミルクは母乳より少しゆっくり胃から出ていきます。量を大人が決められるうえ、哺乳瓶は速く楽に飲めるので、母乳より飲みすぎやすくなります。「3時間空ける」という指導には、飲ませすぎを防ぐという意味があります。

ただ、決まりとして守る必要はありません。授乳・離乳の支援ガイドは、ミルクは回数より1日に飲む量を中心に考えるとしています。新生児期には2〜3時間おきになることもあります。

・1回に少ししか飲めなかったときは、早めに欲しがったら飲ませてよい

・しっかり飲んだのに1時間ほどで泣くときは、抱っこやおむつなど、空腹以外の理由をまず考える

・少なめに用意して、欲しがれば足す

・ときどき休みながら赤ちゃんのペースで飲ませ、満足したサインが出たら残っていても終える

母乳とミルクの両方を使っている場合、母乳の回数を減らしすぎると母乳の出が減ることがあります。ミルクをどのくらい足すかは、母乳の出方と体重の増えによって変わるので、迷ったら相談してください。

3.足りているか、多すぎないか

母乳で足りているサイン

「母乳が足りているかわからない」は、授乳で困ったことの中で最も多い悩みです。生後4〜5日を過ぎたら、おしっこでぬれたおむつが1日5〜6回以上あるか、機嫌がよいか、体重が増えているかを合わせて判断します。

いちばん確かな目安は体重です。1か月健診では、産院を退院したときからの増え方を計算し、1日あたり25 gに届かない場合は、授乳の回数や飲ませ方を見直します。

ミルク缶の表示の読み方

缶に書かれている量は、月齢ごとの平均的な目安です。その量に届かなくても、元気で体重が増えていれば心配ありません。表示どおりの量を飲み切らせる必要もありません。

母子健康手帳の成長曲線に体重を書き込むと、増え方がわかります。曲線から外れて増えない場合や、大きく外れるほど急に増える場合は、医師に相談してください。

4.夜中の授乳

💬 夜中も起こして飲ませたほうがいい?

出生体重に戻るまでは、夜中も間隔が空きすぎないように起こして飲ませます。その後、体重が順調に増えていると確認できれば、夜中に無理に起こす必要はありません。

当院では、1か月健診で体重の増えが良好であれば、夜は起こさなくてよいとお伝えしています。1か月健診を目安にしているのは、多くのご家庭にとって、体重を確かめられる最初の機会だからです。

💬 何か月になったら、夜中の授乳は要らなくなる?

月齢で一律に決まるものではなく、夜中に何回起きて飲むかは赤ちゃんによって大きく違います。離乳食を始める前の時期は、夜も昼と同じ考え方でかまいません。体重が順調に増えていれば、夜中に欲しがるときは飲ませ、眠っているときはそのまま寝かせておきます。ミルクは夜の分も含めて、1日の量で考えてください。

5.まとめ

授乳を時間で決めるか、赤ちゃんに合わせるかは、どちらか一方が正しいという話ではありません。生まれて間もない時期や体重の増えが少ないときは、時間を見て回数を確保します。体重が順調に増えるようになったら、母乳は合図に合わせ、ミルクは1日の量と体重で考えます。

⚠️ 早めに相談・受診してほしいとき

・ぐったりしている、吸う力が弱い、起こしても飲もうとしない

・おしっこの回数が明らかに少ない

・黄色みが強くなる、広がる

・1か月健診のころになっても黄疸が続いている → 健診で相談してください

・便の色が白っぽい・クリーム色、またはおしっこの色が濃い(母子健康手帳の便色カードと比べてください)→ 時期に関係なく、すぐに受診

🏥 当院では、体重の増えや授乳回数、ミルクの足し方、黄疸や便の色のご相談に対応しています。授乳の前後に体重を測って、1回に飲めている量を確かめることもできます。体重を書き込んだ母子健康手帳と、授乳やおむつの記録(アプリのメモで十分です)をお持ちください。乳房や乳頭のトラブルは、産院や助産師の母乳外来をご紹介しています。


このシリーズのほかの記事は、「離乳食はいつから?――5〜6か月を目安に、赤ちゃんの準備を見て始める」の一覧からご覧いただけます。


参考文献

1. Jain S, Bunik M. How Often and How Much Should Your Baby Eat? HealthyChildren.org(American Academy of Pediatrics). Last updated April 2, 2024.(2026年11月3日閲覧)

2. Kemper AR, Newman TB, Slaughter JL, et al. Clinical Practice Guideline Revision: Management of Hyperbilirubinemia in the Newborn Infant 35 or More Weeks of Gestation. Pediatrics. 2022;150(3):e2022058859.

3. Mayo Clinic. Newborn sleep: Should I wake my baby for feedings?(2026年11月3日閲覧)

4. American Academy of Pediatrics. Conditions Often Associated With Breastfeeding. Last updated February 12, 2026.(2026年11月3日閲覧)

5. 松井陽(研究代表者).胆道閉鎖症早期発見のための便色カード活用マニュアル.平成23年度厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業;2012年3月.

6. 「授乳・離乳の支援ガイド」改定に関する研究会.授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版).厚生労働省;2019年3月.

7. Fallon A, Van der Putten D, Dring C, Moylett EH, Fealy G, Devane D. Baby-led compared with scheduled (or mixed) breastfeeding for successful breastfeeding. Cochrane Database Syst Rev. 2016;(9):CD009067.

8. Van Den Driessche M, Peeters K, Marien P, et al. Gastric emptying in formula-fed and breast-fed infants measured with the 13C-octanoic acid breath test. J Pediatr Gastroenterol Nutr. 1999;29(1):46-51.

※2026年11月3日時点の情報に基づいています。

福岡市・薬院の小児科・アレルギー科・内科

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