公開日:2026.11.03 最終更新日:2026.11.04
乳幼児の栄養シリーズ:離乳食はいつから?――5〜6か月を目安に、赤ちゃんの準備を見て始める
「アレルギーが心配なので、少し遅らせようと思っています」
離乳食を始める時期は、保護者の方からよくいただく質問です。
この記事では、離乳食を始める時期の目安、赤ちゃんと保護者の準備、遅らせないほうがよい理由を、日本と海外の指針をもとに説明します。乳幼児の栄養シリーズの基本となる記事で、最後にシリーズの記事の一覧を載せています。
📋 まず結論
・離乳食は、生後5〜6か月頃を目安に、赤ちゃんの準備のサインが見られたら始めます。
・月齢は目安です。5か月になった日に始める必要はありませんが、特別な理由なく先延ばしにしないことが大切です。
・離乳食には、成長とともに母乳やミルクだけでは足りなくなる栄養を補う役割と、食べる力を育てる役割があります。
・食物アレルギーが心配でも、離乳食の開始を遅らせる必要はありません。湿疹がある場合は、治療しながら始めます。
1.離乳食は何のため?――母乳・ミルクで足りなくなる分を補う
生まれてしばらくの間、赤ちゃんに必要な栄養は母乳や育児用ミルクでまかなえます。成長とともに必要な栄養の量が増えると、母乳やミルクだけでは足りなくなるエネルギーや栄養素が出てきます。代表的なのが鉄です。
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」は、離乳を、母乳やミルクだけでは不足してくる栄養を補いながら、幼児食に移っていく過程と説明しています。WHO(世界保健機関)は、この時期の食事を「補完食」と呼んでいます。
離乳食のもう一つの役割は、食べる力を育てることです。飲み込む、舌でつぶす、歯ぐきでかむといった動きを、なめらかな食品から少しずつ固さのある食品へ進めながら身につけていきます。いろいろな味や舌ざわりに慣れるのもこの時期です。
なお、離乳食を始める前に、果汁やイオン飲料を与える必要はありません。始める前の赤ちゃんにとって、最適な栄養は母乳や育児用ミルクです。
2.始める時期の目安――日本と海外の指針を比べる
| 指針 | 始める時期の目安 |
|---|---|
| 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改定版) | 生後5〜6か月頃 |
| WHO 補完食ガイドライン(2023年) | 生後6か月(180日) |
| 欧州小児栄養消化器肝臓学会(ESPGHAN)(2017年) | 生後4か月(17週)より前には始めず、 6か月(26週)を過ぎて遅らせない |
日本の指針は、なめらかにすりつぶした食品を初めて与えたときを「離乳の開始」とし、その時期を生後5〜6か月頃としています。
WHOの「6か月」は、世界中の国を対象にした公衆衛生上の推奨です。WHO自身も、それより早く始めたほうがよい赤ちゃんもいると注記しています。
どの指針も、6か月を過ぎて遅らせないことでは一致しています。日本の5〜6か月頃は、ESPGHANの示す範囲に入っています。
3.赤ちゃんの準備のサイン
授乳・離乳の支援ガイドは、離乳を始める目安として、次のような様子を挙げています。
・首のすわりがしっかりして、寝返りができる
・5秒以上座れる(支えてあげて座れれば十分です)
・スプーンなどを口に入れても、舌で押し出すことが少なくなる
・食べ物に興味を示す
舌で押し出す動きは、母乳やミルクを飲むための反射で、生後5〜7か月頃にかけて弱まっていきます。大人が食べるのをじっと見る、口をもぐもぐ動かすといった様子も、食べ物への興味のサインです。
すべてが完全にそろうのを待つ必要はありません。5〜6か月頃にサインが見られたら、少量から試してみましょう。最初はうまく飲み込めず、口から出してしまうこともよくあります。
4.保護者の準備
始めるときは、次のことを目安にしてください。
・赤ちゃんの体調と機嫌がよい日に始める
・食べた後の様子を見られて、何かあれば医療機関に相談しやすい時間帯(平日の午前中など)を選ぶ
・最初は、離乳食用の小さなスプーンで1さじから。量を食べることより、慣れることを目標にする
・母乳やミルクは、これまでどおり飲みたいだけ与える
卵は、さらに少ない量から始めます。始め方は「離乳食の卵は、卵黄と卵白どちらから?」の記事で説明しています。
作るのが負担なときは、ベビーフードを上手に使うのも一つの方法です。家族の予定で開始が数週間前後するのは問題ありませんが、何か月も先延ばしにしないようにしましょう。
⚠️ 蜂蜜は、乳児ボツリヌス症を起こすおそれがあるため、1歳を過ぎるまで与えないでください。ボツリヌス菌は通常の加熱や調理では死なないため、蜂蜜を使った飲み物やお菓子も同じです。
5.遅らせないほうがよい理由
離乳食を始める時期が遅れると、次のような心配があります。
鉄やビタミンDが不足しやすくなる
授乳・離乳の支援ガイドは、母乳で育つ赤ちゃんは生後6か月の時点で鉄が不足しやすく、ビタミンDの不足も指摘されていることから、適切な時期に離乳食を始めることが重要としています。鉄は「赤ちゃんの鉄不足、どう防ぐ?」、ビタミンDは「赤ちゃんにビタミンDは必要?」の記事で詳しく説明しています。
遅らせても、アレルギーは防げない
アレルギーが心配で離乳食の開始や特定の食品を遅らせても、予防の効果があるという根拠はありません。ガイドは、食べ始める時期の遅れを、食物アレルギーになりやすくする要因の一つとして指摘しています。卵については、卵白を含む鶏卵を早めに食べ始めることで、鶏卵アレルギーを減らせることがわかってきました。湿疹がある場合も、治療で落ち着かせながら始めます(「離乳食の卵は、卵黄と卵白どちらから?」)。
食べる力の発達が遅れる
粒のある食品を始めるのが9か月を過ぎて遅れた子どもで、その後に食べることの問題が多かったという報告があります。食形態も発達に合わせて進めていきます(「離乳食は10倍粥から始める必要がある?」)。
早すぎるのも勧められません。生後4か月より前に始めることは推奨されていないので、首がすわり、飲み込む準備ができてから始めましょう。
⚠️ 次のような場合は、始める時期や進め方を医師と相談しましょう
・早産や低出生体重で生まれた
・湿疹が広い範囲にある、または治療してもなかなか落ち着かない
・すでに食べ物で症状が出たことがある
・体重の増え方が気になる
・6か月を過ぎても準備のサインがほとんど見られない、むせることが多い
🏥 当院では、離乳食は生後5〜6か月に、お子さんと保護者の準備が整い次第、遅れないように始めることをお勧めしています。健診や予防接種の際にもご相談ください。
6.まとめ
離乳食は、生後5〜6か月頃を目安に、首がすわる、支えると座れる、食べ物に興味を示すなどの準備のサインを見て始めます。月齢にとらわれすぎる必要はありませんが、アレルギーの心配を理由に遅らせる必要もありません。
離乳食の目的は、月齢どおりに進めることではなく、母乳やミルクで足りなくなる栄養を補いながら、赤ちゃんが食べる力を身につけていくことです。
このシリーズの記事
・母乳・ミルクは時間で?欲しがるときに?――授乳の間隔と量、夜中の授乳
・離乳食は10倍粥から始める必要がある?――日本と海外の指針から考える
・離乳食の卵は、卵黄と卵白どちらから?――卵黄から始める理由とアレルギー予防
・赤ちゃんにビタミンDは必要?――母乳・ミルク、日光浴、サプリメントを考える
参考文献
1. 厚生労働省.授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版).2019.(2026年11月3日閲覧)
2. World Health Organization. WHO Guideline for Complementary Feeding of Infants and Young Children 6–23 Months of Age. 2023.(2026年11月3日閲覧)
3. Fewtrell M, et al. Complementary Feeding: A Position Paper by the ESPGHAN Committee on Nutrition. J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2017;64:119–132.
4. 厚生労働省.ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。(2026年11月3日閲覧)
5. Coulthard H, Harris G, Emmett P. Delayed introduction of lumpy foods to children during the complementary feeding period affects child’s food acceptance and feeding at 7 years of age. Matern Child Nutr. 2009;5:75–85.
※2026年11月3日時点の情報に基づいています。