2025.04.14
妊娠中にできる大切な予防接種のご案内
生まれてくる赤ちゃんを守るために妊娠中にできる大切な予防接種のご案内
赤ちゃんは、生後2か月から定期予防接種を受けることで、病気と闘うための免疫を自ら獲得していきます。しかし、それまでの間は自分自身で感染症に対抗する力が不十分です。
そこで、妊娠中のお母さまがワクチンを接種することで、胎盤を通して赤ちゃんに抗体が移行し、生まれてすぐの赤ちゃんを感染症から守ることができます。
当院では、以下の母子感染予防ワクチンの接種が可能です。
ワクチン名 | 接種時期 | 接種回数 | 費用 (税込) |
---|---|---|---|
RSウイルス母子免疫ワクチン(アブリスボ®) | 妊娠24~36週(※28~36週推奨) | 1回 | 33,000円 |
DPT(国産三種混合ワクチン・トリビック®) | 妊娠27~36週 | 1回 | 5,500円 |
Tdap(輸入三種混合ワクチン・Boostrix®) | 妊娠27~36週 | 1回 | 8,800円 |
※接種をご希望の際は、必ずかかりつけの産科医師の許可を得たうえでご予約をお願いいたします。
百日咳とは?
百日咳は、長期間続く激しい咳を特徴とする感染症です。
5〜10日の潜伏期のあと、かぜのような初期症状(約2〜3週間)が現れ、次第に激しい咳き込みと「ヒュー」という吸気音を伴う発作性の咳に移行します。咳が原因で顔が赤くなったり、嘔吐や無呼吸を起こすこともあります。回復期を含め、数か月間症状が続くこともあります。
大人が感染した場合は、軽い咳で自然に治癒することが多いため、かぜとの区別がつきにくいことがありますが、1歳未満の乳児が感染すると重症化し、呼吸停止や死亡に至るケースもあります。特に生後3~6か月未満の乳児や新生児は非常にリスクが高いため、周囲の大人からの感染予防が重要です。
百日咳の感染力は非常に強く、**家庭内での二次感染率は80〜90%**にのぼるとされています。
百日咳ワクチンについて
当院では、以下の2種類の百日咳ワクチンを取り扱っております:
- 国産ワクチン(DPT・トリビック®)
ジフテリア、破傷風、百日咳の3種混合ワクチンです。日本国内で全年齢に対して承認されており、国際的に標準となっているBoostrix®よりは実績が少ないですが、妊婦に対する安全性と有効性が確認されています。 - 輸入ワクチン(Tdap・Boostrix®)
米国をはじめ多くの国で妊婦への接種が推奨・定期化されており、特に百日咳による新生児の重症化予防に有効とされています。日本では未承認のため、輸入ワクチンとして取り扱っています。
■ こんな方におすすめです:
- 妊娠27~36週の妊婦さん
- 新生児・乳児と生活を共にするご家族(父親・祖父母など)
※百日咳ワクチンとRSウイルスワクチンは同時接種により効果が低下する可能性があるため、別日での接種を推奨しています。
■ 接種をご希望の方へ
国産ワクチン、輸入ワクチンどちらを接種するか相談ご希望の際はお電話でご連絡ください。
百日咳ワクチンは、国産ワクチン、輸入ワクチンとも在庫を確保しておりますが、接種希望の方が多い日は取り寄せが必要です。接種希望日の5診療日前までにご予約ください。なお、予約後のキャンセルは不可となりますのでご了承ください(体調などによる日程変更はご相談ください)。
■ ご予約方法
電話または受付窓口にてご予約いただけます。
RSウイルス感染症とは?
RSウイルスは、1歳までに約7割の乳児が感染するごく一般的なウイルスです。多くは軽症ですが、1/3が肺炎や細気管支炎などの重症化を起こすとされています。特に生後1か月未満の乳児では、無呼吸発作などによって突然死に至るリスクもあり、早期の予防が大切です。
RSウイルス母子免疫ワクチン(アブリスボ®)について
2024年5月に発売された、新しいRSウイルスワクチンです。妊娠24〜36週(特に28〜36週)の妊婦への接種により、生後6か月ごろまでの赤ちゃんをRSウイルス感染の重症化から守ることができます。
■ 効果
国際共同臨床試験において、妊婦接種により以下の有効性が確認されました:
- 生後90日以内の重症RSウイルス感染症:81.8%予防
- 生後180日以内の重症RSウイルス感染症:69.4%予防
■ こんな方におすすめです:
- 妊娠24~36週(特に28〜36週)の妊婦さん
- 兄弟姉妹からの感染リスクが高い第2子以降のお子さまを妊娠中の方
■ 副反応について
注射部位の痛み・腫れ・倦怠感・頭痛など、一般的な副反応が報告されています。特異的な重篤な副反応は認められていません。
なお、RSウイルスワクチンと百日咳含有ワクチンの同時接種では、百日咳ワクチンの効果が下がる可能性があるため、別日での接種をおすすめします。
■ 接種をご希望の方へ
RSウイルス母子免疫ワクチンは取り寄せが必要なワクチンです。接種希望日の5診療日前までにご予約ください。なお、予約後のキャンセルは不可となりますのでご了承ください(体調などによる日程変更はご相談ください)。
■ ご予約方法
電話または受付窓口にてご予約いただけます。
ご不明な点がございましたら、お気軽にスタッフまでお尋ねください。
みんなで生まれてくる赤ちゃんを感染症から守りましょう!