2026.09.22
じんま疹シリーズ第1回:じんま疹とは?―「食物アレルギー」だけではない、その仕組み
突然、皮膚に赤く盛り上がった発疹が現れ、かゆみを伴う「じんま疹」。
「何か変なものを食べたかな?」
「食物アレルギーでは?」
と心配される方も多いと思います。
確かに、食物アレルギーによってじんま疹が起こることはあります。しかし、じんま疹は食物アレルギーだけで起こる病気ではありません。
では、じんま疹はなぜ起こるのでしょうか。
今回から4回に分けて、じんま疹の症状や原因、検査、治療、そして急いで受診した方がよい症状について解説します。
第1回は、まず「じんま疹とはどのような病気なのか」から見ていきます。
「じんま疹」はどんな発疹?
じんま疹の典型的な症状は、皮膚の一部が赤く、蚊に刺されたように盛り上がる「膨疹(ぼうしん)」です。
数mm程度の小さなものから、いくつもの膨疹がつながって地図のように広がるものまで、大きさや形はさまざまです。多くの場合、かゆみを伴います。
大きな特徴は、一つ一つの膨疹は通常24時間以内に跡を残さず消えることです。
「さっきまでお腹にあったのに消えて、今度は腕に出てきた」というように、場所を変えながら出たり消えたりすることもよくあります。
一方、同じ発疹が何日も残る、痛みが強い、消えたあとに紫色や色素沈着が残る、といった場合には、一般的なじんま疹とは別の病気を考えることがあります。
また、じんま疹では、まぶたや唇などが大きく腫れる「血管性浮腫」を伴うこともあります。血管性浮腫がどのようなときに注意が必要なのかについては、第4回で詳しく説明します。
じんま疹はなぜ出る?
じんま疹の症状に中心的な役割を果たしているのが、皮膚に存在する「肥満細胞(マスト細胞)」です。
「肥満」という名前がついていますが、体重や肥満とは関係ありません。
何らかのきっかけによって肥満細胞が活性化すると、ヒスタミンなどの物質が放出されます。
ヒスタミンなどの作用によって皮膚の血管が広がり、血管から周囲の組織へ水分が漏れやすくなります。その結果、皮膚が赤く盛り上がる「膨疹」ができます。また、皮膚の神経が刺激されることで、かゆみも生じます。
肥満細胞から放出されたヒスタミンなどが、血管と神経の両方に作用することで、膨疹とかゆみがそれぞれ生じます。
急性じんま疹と慢性じんま疹
じんま疹は、症状が続く期間によって大きく「急性」と「慢性」に分けられます。
症状が6週間以内でおさまるものを急性じんま疹、6週間を超えて繰り返すものを慢性じんま疹と呼びます。
ここでいう「6週間続く」とは、一つの膨疹が6週間残るという意味ではありません。一つ一つの膨疹は消えても、新しい膨疹が繰り返し現れる状態が続く、という意味です。
急性じんま疹では、感染症や食物、薬剤などがきっかけとなることがあります。しかし、実際には原因を一つに特定できないことも珍しくありません。
慢性じんま疹には、寒さや圧迫、体温の上昇などによって症状が起こる「慢性誘発性じんま疹」と、こうした明確な誘発因子がなく症状が自然に現れる「慢性自発性じんま疹」があります。
慢性自発性じんま疹は「慢性特発性じんま疹」と呼ばれることもありますが、現在の国際ガイドラインでは「慢性自発性じんま疹(chronic spontaneous urticaria:CSU)」という名称が使われています。
「自発性」という言葉は、「原因が分からない」という意味ではありません。明確な誘発因子がなく、症状が自然に現れるという意味です。
慢性自発性じんま疹の仕組みは少しずつ分かってきています
慢性自発性じんま疹では、何が肥満細胞を活性化させているのでしょうか。
一部の患者さんでは、自分自身の体の成分に反応する抗体などが、肥満細胞の活性化に関わっていると考えられています。こうした仕組みには、「自己アレルギー」や「自己免疫」と呼ばれるものがあります。
つまり、花粉や食べ物など体の外から入ってきたアレルゲンだけが、じんま疹を起こすわけではありません。体の中で起こっている免疫反応によって、肥満細胞が活性化する場合もあることが分かってきました。
もちろん、すべての慢性自発性じんま疹がこうした仕組みだけで説明できるわけではありません。なぜ発症するのか、なぜ自然に治っていく人がいるのかなど、まだ分かっていないこともあります。
それでも、以前は原因不明とされがちだったこの病気について、体の中で何が起きているのかは着実に見えてきています。
じんま疹=食物アレルギーとは限りません
じんま疹が突然出ると、その直前に食べたものを思い浮かべる方は少なくありません。
例えば、
「夕食で卵を食べたあとに、じんま疹が出ました。卵アレルギーでしょうか?」
という相談です。
もちろん、卵などの食物アレルギーによってじんま疹が起こることはあります。しかし、「その日に食べた」というだけでは、その食べ物が原因とは判断できません。子どもの急性じんま疹では、かぜなどの感染症に伴って出ることもあるからです。
ただ、「その日に食べた」という理由だけで原因と決めつけ、自己判断で除去を続ける必要はありません。原因を正しく考えるには、もう少し詳しい情報が必要です。
まとめ
じんま疹は、食物アレルギーだけで起こる病気ではありません。
皮膚の肥満細胞が活性化してヒスタミンなどが放出されることで、赤く盛り上がる膨疹やかゆみが生じます。
急性じんま疹では感染症や食物、薬剤などさまざまなきっかけが考えられます。一方、慢性自発性じんま疹では、一部で自己アレルギーや自己免疫が関わるなど、肥満細胞が活性化する仕組みが分かってきています。
次回は「じんま疹の原因はどう調べる?―血液検査で分かるとは限りません」と題して、じんま疹の原因の考え方と検査について詳しく解説します。
参考文献
1. Zuberbier T, et al. The International Guideline for the Definition, Classification, Diagnosis and Management of Urticaria. Allergy. 2026;81(8):2582-2632. doi:10.1111/all.70210.
2. Kolkhir P, Muñoz M, Asero R, et al. Autoimmune chronic spontaneous urticaria. J Allergy Clin Immunol. 2022;149(6):1819-1831. doi:10.1016/j.jaci.2022.04.010.
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4. Kaplan AP, Ferrer Puga M, Sabate-Bresco M. Endotypes in chronic spontaneous urticaria. J Allergy Clin Immunol. 2026 May 14:S0091-6749(26)00338-6. doi:10.1016/j.jaci.2026.05.002. Online ahead of print.