2026.09.22
じんま疹シリーズ第2回:じんま疹の原因はどう調べる?―血液検査で分かるとは限りません
前回は、じんま疹が食物アレルギーだけで起こる病気ではないことをお話ししました。
では、じんま疹が出たとき、その原因はどのように調べればよいのでしょうか。
「原因を調べるなら、アレルギーの血液検査をすればよい」と思われるかもしれません。しかし、診断の出発点となるのは検査ではなく、症状が出たときの状況やその後の経過です。
実際、2026年の国際ガイドラインでも、急性じんま疹に対して一律に検査を行うことは推奨されていません。まず詳しく経過を確認し、そこから疑われる原因がある場合に、必要な検査を選んでいきます。
小児の急性じんま疹では、食べ物以外の原因も多くあります
突然じんま疹が出ると、「今日食べたものの何かが原因では?」と考える方は少なくありません。もちろん、食物アレルギーによってじんま疹が起こることはあります。ただ、小児の急性じんま疹全体でみると、食物以外にもさまざまな原因やきっかけがあります。
2026年に報告された、初めて急性じんま疹を発症した子ども210人を前向きに調べた研究では、評価後に確認された原因は感染症が55.2%と最も多く、食物は0.5%でした。
原因の割合は、研究対象や「原因」をどのように判定するかによって異なります。しかし、ほかの小児研究でも、食物より感染症が原因として疑われることが多く、食物が疑われても、その後の専門的な評価では原因と確認されないケースが報告されています。
つまり、じんま疹が出た日に食べていたというだけで、その食べ物が原因とは限りません。特に子どもの急性じんま疹では、かぜなどの感染症に伴って症状が出ることもあります。
原因を調べる第一歩は、血液検査ではなく「経過」です
診察では、じんま疹が出る前後に何があったのかを詳しく確認します。
食物との関係を考える場合には、「何を食べたか」とともに、「食べてからどのくらいで症状が出たか」が重要です。特定の食物を食べたあと比較的短時間で症状が現れ、以前にも同じ食物で同じような症状が起きていれば、原因を考える重要な手がかりになります。こうした「再現性」も診断では重視します。
「昼に卵を食べて、その日の夜にじんま疹が出た」というだけでは、卵が原因とは判断できません。
じんま疹以外の症状も確認します。食物を食べたあとに、唇やまぶたの腫れ、咳や息苦しさ、繰り返す嘔吐などを伴っていれば、食物アレルギーを考えるうえで重要な情報になります。
子どもでは、じんま疹の前後に発熱、咳、鼻水、のどの痛み、嘔吐、下痢などがなかったかも確認します。感染症に伴うじんま疹では、発疹が出た時点だけを見るのではなく、その前後の体調を含めて考えます。
このほか、新しく飲み始めた薬がないか、寒さや圧迫、体温の上昇など特定の刺激で繰り返していないかも診断の手がかりになります。
なお、原因を確かめるために、ご家庭で疑わしい食物をあえてもう一度食べさせる必要はありません。
また、じんま疹は受診するころには消えていることがあります。症状が出ているときにスマートフォンなどで写真を撮っておくと、診察の際に役立ちます。国際ガイドラインでも、診察時に発疹が確認できない場合には、患者さんが撮影した写真を確認することが診断に役立つとされています。
じんま疹が出たら、アレルギー検査をした方がいい?
経過から特定の食物によるアレルギーが疑われれば、その食物に対する特異的IgE抗体などを調べることがあります。
ここで注意したいのは、血液検査で陽性になった食物が、そのまま今回のじんま疹の原因になるわけではないことです。
血液検査で特定の食物に対するIgE抗体が確認されることを「感作」といいます。感作されていても、実際にはその食物を症状なく食べられることがあります。
そのため、じんま疹が出たという理由だけで多数の食品を一度に検査すると、今回の症状とは関係のない陽性結果が見つかることがあります。それを原因と考えてしまうと、本当は食べられる食品まで不必要に避けることになりかねません。
血液検査は、何も手がかりがない状態から原因を探し出すためのものではありません。まず症状の経過から原因として疑わしいものを考え、その判断を助けるために検査を行います。
アレルギー検査の「陽性」が何を意味するのか、どのような場合に検査を行うのかについては、以前の記事「『とりあえずアレルギー検査』の前に―検査をしたほうがいい場合、しなくていい場合」で詳しく解説しています。
慢性じんま疹では、何を調べる?
6週間を超えて症状を繰り返す慢性自発性じんま疹でも、たくさんの検査を行えば原因が見つかるわけではありません。
必要に応じて血球の状態や炎症反応などを確認し、それ以上の検査は症状の経過や診察所見などに応じて選択します。2026年の国際ガイドラインでも、慢性自発性じんま疹では基本的な検査を限定して行い、詳しい検査は個々の患者さんの状況に応じて追加する方針が示されています。
一方、寒さや圧迫、体温の上昇など特定の刺激で繰り返す慢性誘発性じんま疹では、疑われる刺激との関係を確認する誘発試験が診断に役立ちます。
まとめ
じんま疹の原因を調べるとき、最初から血液検査で原因を探すわけではありません。
まず、症状が出るまでの時間、同じ状況で繰り返しているか、その前後の体調、薬や特定の刺激との関係などを確認します。そこから食物アレルギーなど特定の原因が疑われた場合に、必要な検査を選びます。
食物アレルギーが原因となることはありますが、「じんま疹が出た日に食べていた」というだけでは、その食物が原因とは判断できません。
血液検査は、原因を自動的に教えてくれる検査ではなく、症状の経過とあわせて診断に役立てるものです。
次回は、じんま疹の治療について、抗ヒスタミン薬から新しい治療まで詳しく解説します。
参考文献
1. Zuberbier T, et al. The International Guideline for the Definition, Classification, Diagnosis and Management of Urticaria. Allergy. 2026;81(8):2582-2632. doi:10.1111/all.70210.
2. Özdemir GN, Karakurt LT, Besli E, Cavkaytar Ö, Arga M. Clinical Follow-Up, Etiology, and Predictors of Progression to Chronic Urticaria in Children with Acute Urticaria: A Guideline-Based Study. Pediatr Allergy Immunol Pulmonol. 2026. doi:10.1177/2151321X261470202.
3. Farinha I, et al. Hospital admissions for urticaria in a pediatric emergency department of a tertiary care hospital. Allergol Immunopathol (Madr). 2023;51(3):117-123. doi:10.15586/aei.v51i3.820.