2026.09.27
子どものサプリメントシリーズ:ビタミンD――日光・食事・サプリメントをどう考える?
「ビタミンDのサプリメントは、子どもにも飲ませた方がいいですか」
ビタミンDは骨の成長に欠かせない栄養素で、強く不足すると、子どもでは「くる病」の原因になります。ほかの栄養素と違うのは、食事からとるだけでなく、日光を浴びることで皮膚でもつくられる点です。そのため、足りているかどうかは、食事に加えて、屋外で過ごす時間や季節も合わせて考えます。
この記事では、主に学童期以降の子どもについて取り上げます。乳幼児期のビタミンDについては、別シリーズ「乳幼児の栄養」で詳しく取り上げる予定です。
ビタミンDの働き
ビタミンDは、腸からカルシウムやリンを吸収するのを助け、骨の形成や成長を支えています。
強く不足すると骨が十分に硬くならず、子どもではビタミンD欠乏性くる病を起こします。乳幼児期にはO脚などの骨の変形や成長の遅れとして現れることが多く、学童期以降では、骨や筋肉の痛み、筋力の低下が目立つこともあります。
1日に必要な量
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、ビタミンDの1日あたりの目安量は次のように設定されています。
| 年齢 | 目安量 |
|---|---|
| 6~7歳 | 5.5μg |
| 8~9歳 | 6.5μg |
| 10~11歳 | 8.0μg |
| 12~14歳 | 9.0μg |
| 15~17歳 | 9.0μg |
ビタミンDは、必要量を決めるための十分な根拠がないため、「推奨量」ではなく「目安量」が示されています。食事摂取基準は、日光によって皮膚でつくられる分があることを踏まえ、日照時間も考慮に入れるよう求めています。表の量を毎日食事からとらなければ不足する、という意味ではありません。
食品からとれる量
ビタミンDは、魚に多く含まれています。卵やきのこにも含まれますが、量は食品によって大きく異なります。
・鮭1切れ(生で80g):約26μg
・卵1個(可食部50g):約1.9μg
・まいたけ50g:約2.5μg
・生しいたけ(菌床栽培)50g:約0.2μg
鮭1切れで、小学生の目安量の数日分がとれます。ビタミンDは体にためておける栄養素なので、毎日ではなく、1週間単位で魚を食べているかを見れば十分です。
反対に、魚をほとんど食べない場合は、卵やきのこだけで補うのは難しくなります。同じきのこでも、種類や栽培方法によって含有量は大きく変わります。
日光からつくられる量
皮膚に紫外線B波(UVB)が当たると、体内でビタミンDがつくられます。同じ食事をしていても、季節、地域、屋外で過ごす時間、服装によって、体内のビタミンDの状態は変わります。
必要な日光の量を「毎日○分」と一律に決めることはできません。季節、時刻、天候、肌の露出の程度によって、大きく変わるためです。日焼け止めを塗ると、つくられる量は大きく減ります。
ビタミンDをつくるために、日焼けをする必要はありません。紫外線による皮膚への影響に配慮しながら、普段の生活の中で適度に外で過ごすことを心がけてください。
日本の子どもの状況
日本の子どもでも、血液中のビタミンDが低めの例は報告されています。栃木県の12~13歳492人を調べた研究では、血液中の25(OH)Dが20 ng/mL未満だった子どもは、男子22.3%、女子33.9%でした。
ただし、どの値から「不足」「欠乏」とするかは、学会や目的によって異なり、国際的にも統一されていません。また、血液の値が低いことは、それだけでくる病を意味するものではありません。
一方、国内の全国調査では、くる病などの症状を伴うビタミンD欠乏は、15歳未満で年間10万人あたり約1人と推計されています。その多くは5歳未満の乳幼児でした。
血液の値が低めの子は珍しくありませんが、学童期に症状が出るほどの欠乏はまれだといえます。
不足に注意したい子
次のような場合は、ビタミンDが不足している可能性を考えます。
・魚をほとんど食べない
・屋外で過ごす機会が非常に少ない
・食物アレルギーで魚や卵を除去している
・食べられる食品が極端に限られている
・ビタミンDの吸収や代謝に影響する病気がある
当てはまる項目があっても、すぐにサプリメントを始める必要はありません。食事内容や生活習慣、成長の経過を確認します。
血液検査で25(OH)Dを保険診療で測定できるのは、ビタミンD欠乏性くる病などの診断や治療に必要な場合に限られます。症状のない子どもで、足りているかを確かめるための測定は対象になりません。
サプリメントについての考え方
ビタミンDが不足している場合は、補うことに意味があります。くる病などでは、ビタミンDの補充が治療になります。
健康な子どもへの予防的な補充については、国や学会によって考え方が異なります。英国では、1~4歳には年間を通して、4歳以上では秋から冬に、ビタミンDのサプリメントを検討するよう勧めています。高緯度で、冬には日光からビタミンDがほとんどつくられないためです。米国内分泌学会の2024年のガイドラインは、1~18歳への予防的な補充を提案しています。ただし、これは弱い推奨で、最適な量はわかっていないとしています。また、健康な人が日常的に血液検査を受けることは勧めていません。
日本には、健康な学童期以降の子ども全員に補充を勧める公的な推奨はありません。まずは、魚などを食べているか、屋外に出る機会があるかを確認します。そのうえで、魚をほとんど食べない、外で過ごす機会が非常に少ないなど、不足するリスクが高い場合には、サプリメントでの補充も選択肢になります。
なお、アレルギーの予防や治療を目的としたビタミンDのサプリメントの効果は、現時点でははっきりしていません。
とりすぎにも注意
ビタミンDは脂溶性のビタミンで、体にたまりやすい性質があります。サプリメントなどで過剰な量を長く続けると、高カルシウム血症などを起こすことがあります。
⚠️ 大人向けの製品は、1粒に含まれる量が多いことがあります。使う場合は、製品に含まれる量と子どもの年齢に合った量を確認してください。複数のサプリメントや栄養強化食品を使っている場合は、1日の合計量も確認します。(→総論「子どもにサプリメント、飲ませる前に知っておきたいこと」)
まとめ
ビタミンDは、食事と日光の両方から得ています。魚を食べる習慣と、屋外で過ごす時間があれば、学童期にくる病を心配するほどの不足になることはまれです。
魚をほとんど食べない、外に出る機会が少ない、食物アレルギーで食品を除去している、といった場合や、身長の伸びや骨の状態が気になる場合、血液検査で低いと言われた場合には、ご相談ください。
シリーズ「子どものサプリメント」
・ビタミンD――日光・食事・サプリメントをどう考える?(この記事)
関連シリーズ
・乳幼児の栄養(準備中)
参考文献・参考資料
1. 日本小児内分泌学会(ビタミンD診療ガイドライン策定委員会). ビタミンD欠乏性くる病・低カルシウム血症の診断の手引き. 2013. https://jspe.umin.jp/medical/files/_vitaminD.pdf(2026年9月27日閲覧)
2. 厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書. 2024. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html(2026年9月27日閲覧)
3. 文部科学省. 食品成分データベース(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年). https://fooddb.mext.go.jp/(2026年9月27日閲覧)
4. 日本小児内分泌学会. くる病. https://jspe.umin.jp/public/kuru.html(2026年9月27日閲覧)
5. Koyama S, Kubota T, Naganuma J, Arisaka O, Ozono K, Yoshihara S. Incidence rate of vitamin D deficiency and FGF23 levels in 12- to 13-year-old adolescents in Japan. J Bone Miner Metab. 2021;39(3):456-462.
6. Kubota T, Nakayama H, Kitaoka T, et al. Incidence rate and characteristics of symptomatic vitamin D deficiency in children: a nationwide survey in Japan. Endocr J. 2018;65(6):593-599.
7. Scientific Advisory Committee on Nutrition. Vitamin D and Health. Public Health England. 2016.
8. Demay MB, Pittas AG, Bikle DD, et al. Vitamin D for the Prevention of Disease: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. J Clin Endocrinol Metab. 2024;109(8):1907-1947.