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スタッフコラム

2026.09.27

子どものサプリメントシリーズ:子どもにサプリメント、飲ませる前に知っておきたいこと

「成長期なので、何か飲ませた方がいいですか」

外来で、こうした質問を受けることがあります。

小学生のお子さんを診察していると、問診の中で「ジュニアプロテインを飲んでいます」と伺う機会が、ここ数年で増えたように感じます。ビタミンや鉄、カルシウム、乳酸菌など、子ども向けのさまざまな製品も販売されています。

栄養について考えるときには、不足しているものを補うことと、すでに足りているものをさらに足すことを、分けて考える必要があります。

健康で、さまざまな食品を食べられている子どもでは、サプリメントを日常的に追加する必要は通常ありません。一方、特定の栄養素が不足している場合や、不足するリスクが高い場合には、補充が必要になることがあります。

このシリーズでは、「何が足りないのか」「本当に補う必要があるのか」という視点から、子どものサプリメントについて考えていきます。

主に小学生以降のお子さんを想定しています。乳幼児期の鉄やビタミンDなどについては、別シリーズ「乳幼児の栄養」で詳しく取り上げる予定です。持病で通院中のお子さんは、サプリメントを始める前に主治医へご相談ください。

サプリメントの多くは「食品」です

日本で販売されているサプリメントの多くは、医薬品ではなく「食品」として扱われます。

「栄養機能食品」は、国が定めた基準を満たしていれば、決められた栄養成分の機能を表示できる制度です。「機能性表示食品」は、事業者の責任で、安全性や機能性に関する科学的根拠などを消費者庁に届け出て、機能性を表示する制度です。

いずれも、医薬品と同じように国が製品ごとに効果を審査し、承認しているものではありません。なお、機能性表示食品は、制度上、未成年者を対象としたものではありません。

「子ども向け」「成長期に」「1日分の○○」などと書かれていても、その製品がすべての子どもに必要という意味ではありません。何歳の子を想定しているのか、何がどれくらい含まれているのかは、製品によって異なります。

健康食品の広告で効果をうたうには、その裏付けとなる合理的な根拠が必要とされています。「身長が伸びる」「集中力が高まる」といった表示を見かけたときは、どのような根拠が示されているかを確かめてください。

原則1 まず、食事で足りているかを見る

栄養を考えるときの基本は、普段の食事を見ることです。

「日本人の食事摂取基準」では、年齢や性別などに応じて、栄養素の必要量や摂取の目安が示されています。

必要な栄養素は、まず食事からとることが基本です。ただし、鉄、カルシウム、ビタミンDなど、年齢や食生活によって不足に注意したい栄養素もあります。

食事は、1食や1日だけを切り取って判断しないようにします。「朝ごはんがパンだけだった」「今日は野菜をほとんど食べなかった」という日があっても、それだけで栄養不足とは決まりません。普段どのような食事をしているのか、習慣として考えます。

小学生では、学校給食も栄養面で大きな役割を担っています。日本の小中学生を対象とした研究では、学校のある日とない日で多くの栄養素の摂取量に差があり、給食が栄養摂取の改善に寄与していることが示されています。

平日は給食でとれているものが、休日には少なくなっていないか。こうした視点も役立ちます。

原則2 足りない分を補うことと、上乗せすることは違う

このシリーズで最もお伝えしたいことです。

栄養素が不足していれば、それを補うことには意味があります。鉄欠乏やビタミンD欠乏など、欠乏によって体の働きや成長に影響が出ている場合には、補充は治療になります。

一方、すでに必要な栄養がとれている子どもに、さらに栄養素を追加することで、身長がより伸びたり、運動能力がさらに高まったりすることを示す十分な根拠はありません。

「成長期だから」「スポーツをしているから」という理由だけで、サプリメントが必要になるわけではありません。

ジュニアプロテインについては、別の記事で詳しく取り上げています(→「ジュニアプロテイン、子どもに必要?」)。

原則3 1日の合計で考える

栄養素は、多くとればとるほど体によいわけではありません。過剰摂取による健康障害を防ぐため、「耐容上限量」が定められている栄養素もあります。

見落としやすいのが、複数の食品や製品による重複です。

たとえば、カルシウムを強化した飲料を飲み、給食でも牛乳を飲み、家でも乳製品を食べている。マルチビタミンと別のサプリメントを併用している。ビタミンやミネラルを強化したシリアルや飲料を日常的にとっている。このような場合、同じ栄養素をいくつもの食品や製品からとっていることがあります。

サプリメントを使う場合には、一つの製品だけを見るのではなく、食事やほかの製品も含めた1日の摂取量を確認します。

⚠️ 鉄を含む製品は、幼いきょうだいが誤って飲むと中毒を起こすことがあります。サプリメントも薬と同じように、子どもの手の届かない場所に保管してください。

原則4 食事の量を減らさない

サプリメントで鉄やカルシウムを補えても、それだけで食事全体が整うわけではありません。

食べ物からは、一つの栄養素だけでなく、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、さまざまな栄養をとっています。

プロテインや栄養を強化した飲料などでお腹がいっぱいになり、普段の食事が減ってしまうこともあります。サプリメントを使う場合には、食事量や食事内容が変わっていないかも確認します。

不足に注意したい子どももいます

年齢や食生活、成長の状況によっては、特定の栄養素が不足しやすくなります。

乳幼児期は、鉄やビタミンDなどの不足に注意が必要な時期です。詳しくは別シリーズ「乳幼児の栄養」で取り上げる予定です。

学童期以降では、月経のある思春期女子、特に月経量が多い場合には鉄不足に注意します。持久系スポーツなど運動量が非常に多い子どもでは、まず十分なエネルギーをとれているか、そのうえで鉄などが不足していないかを見る必要があります。屋外で過ごす時間が少なく、魚などもあまり食べない子どもでは、ビタミンDの不足にも注意します。

年齢を問わず、

・食べられる食品が極端に限られている

・食物アレルギーなどで複数の食品を長期間除去している

・完全菜食(ヴィーガン)の食生活をしている

・身長や体重の伸びが思わしくない

・病気などのために十分な食事がとれない

といった場合には、食事内容や成長の経過を確認します。

当てはまる項目があっても、すぐにサプリメントを始める必要はありません。必要に応じて検査も行い、どの栄養素が不足しているのか、不足するリスクがどの程度あるのかを確認したうえで対応します。

サプリメントを使うときに確かめたいこと

サプリメントを使う場合には、次の点を確認してみてください。

📌 確認したいこと

・何を補うために使うのか

・1日にどのくらいとることになるのか

・子どもの年齢に対して適切な量か

・乳、大豆などのアレルギー表示に問題がないか

・ほかのサプリメントや栄養強化食品と成分が重なっていないか

・食事量が減っていないか

・いつまで続けるのか

🏥 受診するときには、使用しているサプリメントについても医師にお伝えください。製品の現物や成分表示の写真があると、含まれている成分や量を確認できます。

こんなときはご相談ください

身長や体重の伸びが気になる、疲れやすい・顔色が悪い、除去食を続けている、食べられるものが極端に少ない、スポーツをしているが食事量が追いついているか心配、血液検査で栄養不足を指摘された、といった場合はご相談ください。

母子手帳や学校などで測った身長・体重の記録、使用している製品の現物または成分表示の写真、過去の検査結果などがあれば、より具体的に確認できます。

まとめ

子どもの成長には十分な栄養が必要です。ただし、すでに足りている栄養素をさらに増やせば、よりよく成長するとは限りません。

サプリメントを選ぶ前に、まず普段の食事と成長を振り返り、何を補う必要があるのかを考えてみましょう。


シリーズ「子どものサプリメント」

関連シリーズ

・乳幼児の栄養(準備中)


参考文献・参考資料

1. 消費者庁. 栄養機能食品について. https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_nutrient_function_claims(2026年9月27日閲覧)

2. 消費者庁. 機能性表示食品について. https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/(2026年9月27日閲覧)

3. 消費者庁. 健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について. 2016年6月30日制定, 2022年12月5日一部改定. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/assets/representation_cms213_230131_01.pdf(2026年9月27日閲覧)

4. 厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書. 2024. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html(2026年9月27日閲覧)

5. Asakura K, Sasaki S. School lunches in Japan: their contribution to healthier nutrient intake among elementary-school and junior high-school children. Public Health Nutr. 2017;20(9):1523-1533.

6. 日本小児内分泌学会. 「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解. 2013年3月29日公表, 2025年9月8日改訂.

7. Manoguerra AS, Erdman AR, Booze LL, et al. Iron ingestion: an evidence-based consensus guideline for out-of-hospital management. Clin Toxicol (Phila). 2005;43(6):553-570.

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