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スタッフコラム

2026.09.27

子どものサプリメントシリーズ:鉄・亜鉛・カルシウム――不足しやすいのはどんな子?

「鉄のサプリメントを飲ませた方がいいですか」
「偏食なので、亜鉛が足りないのでは?」
「牛乳を飲めないので、カルシウムが心配です」

外来で、こうした相談を受けることがあります。

鉄、亜鉛、カルシウムは、いずれも成長期に必要なミネラルです。ただ、不足しやすいのはどんな子かは、それぞれ異なります。サプリメントを考える前に、その子の食事や成長、病気の有無から、何が不足しそうかを見ていきます。

この記事では、主に学童期以降の子どもについて取り上げます。

1日に必要な量

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で示されている推奨量は、次の通りです。

鉄

年齢 男子 女子(月経なし) 女子(月経あり)
6~7歳 6.0mg 6.0mg -
8~9歳 7.5mg 8.0mg -
10~11歳 9.5mg 9.0mg 12.5mg
12~14歳 9.0mg 8.0mg 12.5mg
15~17歳 9.0mg 6.5mg 11.0mg

亜鉛

年齢 男子 女子
6~7歳 5.0mg 4.5mg
8~9歳 5.5mg 5.5mg
10~11歳 8.0mg 7.5mg
12~14歳 8.5mg 8.5mg
15~17歳 10.0mg 8.0mg

カルシウム

年齢 男子 女子
6~7歳 600mg 550mg
8~9歳 650mg 750mg
10~11歳 700mg 750mg
12~14歳 1,000mg 800mg
15~17歳 800mg 650mg

鉄は月経の有無によって、カルシウムは成長の時期によって、推奨量が大きく変わります。

鉄――思春期の女子は特に注意

鉄は、赤血球のヘモグロビンをつくるために必要な栄養素です。不足が進むと鉄欠乏性貧血になり、疲れやすい、息切れ、動悸、顔色が悪いといった症状が現れることがあります。

成長期には鉄の必要量が増え、女子では月経による損失も加わります。月経のある女子の推奨量が高いのはそのためです。

特に注意したいのは、次のような場合です。

・月経量が多い

・食事量が少ない、ダイエットをしている

・肉や魚をあまり食べない

・持久系のスポーツなどで運動量が非常に多い

月経量が多い場合は、失われる鉄が増えるだけでなく、月経量そのものについても評価が必要なことがあります。気になる場合はご相談ください。

食品に含まれる鉄

普段よく食べる食品に含まれる鉄のおおよその量です。

・牛もも赤身肉80g:約2mg

・卵1個(可食部50g):約0.8mg

・納豆1パック(40g):約1.3mg

・木綿豆腐100g:約1.5mg

鉄はご飯や魚、野菜などにも含まれているので、1日の摂取量は食事全体で考えます。それでも、月経のある女子の推奨量は、一つの食品で簡単にとれる量ではありません。

また、食品の鉄は吸収される割合が一定ではありません。肉や魚に含まれる鉄と、植物性食品に含まれる鉄とでは吸収のされ方が異なり、体の鉄の状態や一緒に食べるものによっても変わります。

貧血がなくても、鉄が減っていることがある

鉄が不足していくと、まず体に蓄えられている鉄が減り、さらに進むとヘモグロビンが下がって貧血になります。そのため、ヘモグロビンが正常でも、蓄えの鉄が少なくなっていることがあります。

蓄えの鉄の状態を見るには、血清フェリチンが参考になります。ただし、症状のない子ども全員に測る必要はありません。月経量が多い、食事量が少ない、強い食事制限をしている、疲れやすさや息切れがある、といった場合に、必要に応じて血液検査を行います。

フェリチンは、炎症や感染症でも上昇します。数値だけで判断せず、血算、症状、食事内容、月経の状況を合わせて評価します。

⚠️ 「集中力がない」「朝起きられない」といった症状だけで鉄不足と決めつけたり、フェリチンの数値だけを目標に鉄のサプリメントを続けたりすることは勧められません。

亜鉛――多少の偏食で不足することは少ない

亜鉛は、たんぱく質の合成や細胞の増殖に関わり、成長にも必要なミネラルです。不足すると、味覚の異常、皮膚炎、脱毛、食欲低下、成長障害などがみられることがあります。

代表的な食品に含まれる量です。

・牛もも赤身肉80g:約3.8mg

・卵1個(可食部50g):約0.6mg

・納豆1パック(40g):約0.8mg

・木綿豆腐100g:約0.6mg

・牛乳200mL:約0.8mg

肉に多く含まれますが、卵、乳製品、大豆製品など、さまざまな食品からとれます。多少の好き嫌いがある程度で、すぐに不足することはありません。

注意したいのは、次のような場合です。

・食べられる食品が極端に少ない

・食事量そのものが少ない

・肉や魚などの動物性食品をほとんど食べない

・長期間、複数の食品を除去している

・亜鉛の吸収や喪失に影響する病気がある

血清亜鉛の値の見方

亜鉛は血液検査で測れますが、血清亜鉛の値は、食事や採血の時間帯の影響を受けます。朝の空腹時が最も高く、食後や午後には低くなります。また、子どもは大人より低めの値になります。

わずかに低いという結果だけで、亜鉛欠乏とは判断しません。値が低めでも症状のない人は多く、その場合は亜鉛を補充する対象になりません。症状や食事内容、ほかの病気の有無と合わせて評価します。

亜鉛不足の目安として、ALP(アルカリホスファターゼ)の低値が挙げられることがあります。2024年に改訂された亜鉛欠乏症の診療指針では、ALPの低値は診断基準から外されました。成長期の子どもは骨の成長に伴ってALPが高いのが普通で、この値だけで亜鉛の過不足はわかりません。

偏食が気になる場合も、まず何をどのくらい食べているかを確認するところから始めます。

カルシウム――乳製品を除去している子は特に注意

カルシウムは骨や歯をつくるミネラルで、骨量が大きく増える成長期には十分な量が必要です。12~14歳では、男子で1日1,000mg、女子で800mgが推奨されています。

鉄や亜鉛と違い、カルシウムは実際に不足しやすい栄養素です。日本の1~79歳を対象に、8日間の食事記録から普段の摂取量を調べた全国的な研究では、カルシウムは性別や年齢を問わず、必要量に満たない人の割合が高くなっていました。また、小中学生を対象とした別の研究では、学校のない日に多くの栄養素の不足が目立ちました。

代表的な食品に含まれる量です。

・牛乳200mL:約220mg

・ヨーグルト100g:約120mg

・木綿豆腐100g:約90mg

・納豆1パック(40g):約36mg

・しらす干し(微乾燥品)20g:約56mg

牛乳や乳製品は、1回に食べる量でカルシウムを多くとれる食品です。日本の子どもでは、給食の牛乳が大切な供給源になっています。

牛乳アレルギーのある子のカルシウム

牛乳アレルギーなどで乳製品を除去している子どもは、カルシウムの摂取量が少なくなりやすくなります。給食の牛乳を除去している場合、それだけで1日約220mgのカルシウムがとれなくなります。

必要な除去を続けながら、不足しやすい栄養素をほかの食品でどう補うかを考えます。

牛乳以外にも、小魚、大豆製品、青菜などにカルシウムは含まれています。ただし、食べる量まで考える必要があります。牛乳200mL分のカルシウムを納豆だけでとろうとすると、6パック程度が必要です。木綿豆腐のカルシウム量は、製造に使う凝固剤によっても異なります。

牛乳の代わりに豆乳を飲んでいる場合も注意が必要です。一般的な豆乳のカルシウムは、牛乳の3分の1以下です。カルシウムを強化した製品もあるので、成分表示を確認してください。

牛乳アレルギー用のミルクを料理に使うなど、カルシウムを補う方法はいくつかあります。年齢や除去の程度、食べられる食品によって方法が変わるので、主治医や栄養士にご相談ください。(→「食物アレルギーで除去している子どもの栄養」)

血液のカルシウムが正常でも、足りているとは限らない

血液中のカルシウム濃度は、体の中で厳密に調節されています。食事からの摂取が少なくても、骨からカルシウムを動員して、血液中の濃度を保ちます。

そのため、血液検査のカルシウム値が正常でも、普段の摂取量が足りているとは判断できません。カルシウムは、血液検査より、普段の食事内容で評価します。

📌 コラム:血液検査の「基準値」とは

検査結果に並ぶ基準値は、健康な人を測った値のうち、中央の約95%が入る範囲です。健康な人でも20人に1人ほどは範囲から外れます。基準値をわずかに外れただけで病気とは限らず、範囲内だから十分とも限りません(カルシウムがその例です)。

子どもでは年齢によって基準値が変わる項目も多く、大人の基準値をそのまま当てはめることはできません。「基準値より低いので不足」「この値を目指しましょう」と言われたときは、何を根拠にした数値かを確かめてください。

サプリメントの考え方

鉄、亜鉛、カルシウムは、どれも不足していれば補う意味があります。ただし、すべての子どもが予防的にサプリメントを飲む必要はありません。

まず、次の点を確認します。

・どのような食品を、どのくらい食べているか

・食物アレルギーなどで除去している食品があるか

・月経があるか、月経量が多くないか

・身長や体重が順調に伸びているか

そのうえで不足が疑われる場合に、食事で補えるのか、検査が必要なのか、サプリメントや薬による補充が必要なのかを考えます。

鉄と亜鉛は、多めにとっておけば安心という栄養素ではありません。食事摂取基準(2025年版)では、鉄の耐容上限量は設定されませんでした。しかし、貧血の治療などを除き、推奨量を大きく超える鉄の補給は控えるべきだとしています。鉄欠乏でない人が鉄の摂取量を増やしても、貧血の予防にはつながらないとも述べています。

亜鉛も、多めの量を長く続けると銅の吸収が妨げられ、かえって貧血などを起こすことがあります。不足しているかどうかわからないまま、高用量のサプリメントを長く続けることは勧められません。(→総論「子どもにサプリメント、飲ませる前に知っておきたいこと」)

⚠️ 鉄を含む製品は、幼いきょうだいの誤飲にも注意してください。

まとめ

鉄は、月経が始まった思春期の女子や、食事量が少ない子、運動量の多い子で注意します。月経量が多い場合は、月経そのものについての相談も必要です。

亜鉛は、多少の偏食で不足することは少なく、極端な偏食や長期の食事制限がある場合に注意します。

カルシウムは、実際に不足しやすい栄養素です。特に牛乳アレルギーなどで乳製品を除去している子では、食事全体からどれだけとれているかを確認します。

🏥 気になる場合は、普段の食事の様子や、飲んでいるサプリメントの成分表示を持ってご相談ください。


シリーズ「子どものサプリメント」

関連シリーズ

・乳幼児の栄養(準備中)


参考文献・参考資料

1. 厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書. 2024. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html(2026年9月27日閲覧)

2. Powers JM, Heeney MM, Hord J, et al. Prevention, Screening, Diagnosis, and Treatment of Iron Deficiency and Iron Deficiency Anemia in Infants, Children, and Adolescents: Clinical Report. Pediatrics. 2026;158(1):e2026077414.

3. 文部科学省. 食品成分データベース(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年). https://fooddb.mext.go.jp/(2026年9月27日閲覧)

4. World Health Organization. WHO guideline on use of ferritin concentrations to assess iron status in individuals and populations. Geneva: World Health Organization; 2020.

5. 脇野 修, 児玉 浩子, 原 貴史, 深田 俊幸, 神戸 大朋, 佐々木 雅也, 位田 忍, 吉田 博. 亜鉛欠乏症の診療指針2024. 日本臨床栄養学会雑誌. 2024;46(4):224-288.

6. Shinozaki N, Murakami K, Masayasu S, Sasaki S. Usual Nutrient Intake Distribution and Prevalence of Nutrient Intake Inadequacy among Japanese Children and Adults: A Nationwide Study Based on 8-Day Dietary Records. Nutrients. 2023;15(24):5113.

7. Asakura K, Sasaki S. School lunches in Japan: their contribution to healthier nutrient intake among elementary-school and junior high-school children. Public Health Nutr. 2017;20(9):1523-1533.

福岡市・薬院の小児科・アレルギー科・内科

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