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スタッフコラム

2026.09.27

子どものサプリメントシリーズ:「身長が伸びる」サプリメントはある?

「身長を伸ばすために、何か飲ませた方がいいですか」
「カルシウムや亜鉛をとれば、背が高くなりますか」
「身長が伸びると書かれたサプリメントを見つけたのですが、効果はありますか」

子どもの身長が気になって、サプリメントを検討されるご家庭は少なくありません。子ども向けの製品には、カルシウム、亜鉛、ビタミンD、たんぱく質、アルギニンなど、成長に関係する成分を配合したものが多くあります。

📌 先に結論をお伝えすると、栄養状態に問題のない子どもに飲ませて、本来の成長以上に身長を伸ばせることがわかっているサプリメントはありません。日本小児内分泌学会も、健康な子どもの背を高くする効果が科学的に証明された成分はない、という見解を示しています。

足りない分を補うことと、上乗せすること

身長には遺伝の影響が大きく、そこに栄養状態やホルモン、慢性の病気、思春期が始まる時期などが重なって、伸び方が決まっていきます。

エネルギーやたんぱく質、ビタミン・ミネラルが足りなければ、身長の伸びが悪くなることがあります。その場合は、食事を見直したり、足りない栄養素を補ったりすると、伸びが回復することもあります。

一方、必要な栄養がすでにとれている子どもに上乗せしても、その分だけ背が伸びるわけではありません。サプリメントを考えるときは、それが「足りない分を補う」話なのか、「本来より伸ばす」話なのかを分けて考えるのが出発点です。

睡眠や運動も同じです。規則正しい生活は健やかな成長の土台ですが、長く眠ったり特定の運動をしたりして、本来の成長以上に背を高くできることが確かめられているわけではありません。

カルシウム――骨の材料でも、骨を長くするわけではない

「骨をつくる栄養素だから、たくさんとれば骨が伸びる」と考えられがちです。しかし、健康な子どもを対象にした研究をまとめた解析では、カルシウムを追加しても、身長がより伸びる効果は見られませんでした。

とはいえ、日本の子どもはカルシウムが不足しやすく、牛乳アレルギーなどで乳製品を除去している場合は特に注意が必要です。必要な量はしっかりとり、それ以上を「背のために」とる必要はありません。

詳しくは「鉄・亜鉛・カルシウム――不足しやすいのはどんな子?」をご覧ください。

亜鉛――身長が伸びたという研究もあるが

亜鉛は、細胞が増えたり、たんぱく質がつくられたりするのに欠かせない栄養素で、不足すると成長が妨げられます。

亜鉛の補充で身長の伸びが大きくなったという研究もあります。2歳以上の健康な子どもを対象にした2023年のメタ解析では、身長を比較した7つの研究(1,488人)をまとめると、亜鉛をとった群の身長が研究終了時に平均約0.9cm高くなっていました。

ただ、研究ごとの結果は大きくばらついていて、質が高いと評価された研究は一部だけでした。補充した期間も6〜28週間と短いものでした。同じ年に報告された、6か月〜12歳の子どもを対象とした別の系統的レビューでも、亜鉛で身長がわずかに伸びる可能性が示されています。しかし差は小さく、対象の多くは低・中所得国の5歳未満の子どもでした。

こうした結果から、「日本の健康な子どもが亜鉛のサプリメントを飲めば0.9cm伸びる」とは言えません。不足していれば補う意味がありますが、足りている子どもに追加して背が伸びることは確かめられていません。なお、亜鉛を多めに長く続けると、銅の吸収が妨げられることがあります。

ビタミンD――欠乏を防ぐことは大切だが

ビタミンDは、カルシウムの吸収と骨づくりに関わります。重い欠乏はくる病を起こし、骨の変形や成長障害につながるため、欠乏していれば補う必要があります。

一方、5歳未満の子どもへのビタミンD補充を調べた研究をまとめた解析では、身長の伸びにはっきりした効果は見られませんでした。

詳しくは「ビタミンD――日光・食事・サプリメントをどう考える?」をご覧ください。乳幼児期の栄養については、別シリーズ「乳幼児の栄養」で取り上げる予定です。

たんぱく質――プロテインを足せば伸びる?

食が細く、エネルギーやたんぱく質が足りていない子どもでは、しっかり食べられるようにすることで成長がよくなることがあります。

しかし、普段の食事で足りている子どもがプロテインを追加して背が伸びるという根拠はありません。令和6年国民健康・栄養調査では、7〜14歳のたんぱく質摂取量は、男女を合わせた平均で1日71.3gでした。この年代の推奨量(年齢・性別により1日30〜60g)を上回っています。もちろん平均なので、全員が足りているわけではありません。

「成長期向け」と書かれたジュニアプロテインについては、「ジュニアプロテイン、子どもに必要?」で取り上げています。

アルギニン――成長ホルモンを出させれば伸びる?

身長を意識したサプリメントにはアルギニンなどのアミノ酸が入っていて、成長ホルモンと結びつけて説明されていることがあります。

アルギニンに成長ホルモンの分泌を促す作用があるのは確かで、医療機関でも、成長ホルモンがきちんと出ているかを調べる検査に使います。けれども、検査のときに一時的に分泌を促すことと、毎日飲んで背が伸びることは結びつきません。

2026年に報告された系統的レビュー・メタ解析は、思春期前の特発性低身長の子どもに経口アルギニンを6か月または12か月投与した研究をまとめたものです。成長速度が年約0.6cm増えた可能性が示されましたが、差は小さく、含まれた研究はいずれも質が低いものでした。12か月投与した研究だけに絞ると、はっきりした効果は見られていません。

対象は特発性低身長とされた子どもで、一般の健康な子どもではありません。今のところ、身長を伸ばす目的でアルギニン入りのサプリメントを勧められる根拠はありません。

「○cm伸びた」という体験談では、効果はわからない

広告や口コミでは、「半年で○cm伸びた」「飲み始めてから急に伸びた」といった体験談をよく見かけます。

ただ、成長期の子どもはサプリメントを飲まなくても伸びます。思春期に入るとぐんと伸びる時期があり、その頃に飲み始めれば、「飲んでから伸びた」ように見えるのは自然なことです。

思春期が早く始まった子どもは、同級生より先に大きく伸びますが、伸びが止まるのも早くなります。今よく伸びていることは、大人になったときに背が高くなることを意味するわけではありません。

効果を確かめるには、似た条件の子どもを飲む群と飲まない群に分けて、十分な期間比べる必要があります。今回紹介した亜鉛やアルギニンの研究でも、補充した期間は数週間から1年程度で、大人になったときの身長までは確かめられていません。

「成長をサポート」という表示の読み方

「成長期をサポート」「成長に必要な栄養素を配合」「アルギニン配合」といった表示を見かけることがあります。

カルシウムが骨をつくり、亜鉛が成長に関わるのは事実です。しかし、その栄養素が入っていることは、その製品で背が伸びる証明にはなりません。

見るべきなのは「その成分が成長に関係するか」ではなく、「その製品を飲んだ子どもが、飲まなかった子どもより伸びたことが確かめられているか」です。

食品で効果をうたうには、それを裏付ける合理的な根拠が必要です。根拠のない表示は、景品表示法の不当表示や健康増進法の虚偽誇大表示にあたる可能性があります。広告で効果が強調されていても、それだけで効果が確かめられているとはいえません。

身長が気になるときは、サプリメントより成長曲線を

身長は、今の数字だけでなく、これまでどう伸びてきたかを成長曲線で見ることが大切です。

低めでも、成長曲線に沿って一定のペースで伸びている子どももいます。一方で、次のような場合は原因を調べた方がよいことがあります。曲線から大きく外れている場合、同じ位置に沿っていたのに少しずつ下の方へ移ってきた場合、以前より伸びが明らかに遅くなった場合です。

⚠️ 身長の伸びが悪くなる原因には、栄養不足のほか、成長ホルモンや甲状腺ホルモンの異常、慢性の病気、染色体や骨の病気などがあります。こうした場合に、まず身長サプリメントを試して数か月様子を見ることはお勧めしません。

食物アレルギーで除去をしている場合は、必要以上に除去が広がっていないかも確かめてください。除去が多くなると、エネルギーやたんぱく質、カルシウムなどが足りなくなり、成長に影響することがあります。詳しくは「食物アレルギーで除去している子どもの栄養」をご覧ください。

成長曲線は、日本小児内分泌学会のホームページからダウンロードできます。母子手帳や学校健診の記録を書き込んでみて、判断に迷うときは、その記録を持ってご相談ください。

まとめ

カルシウム、亜鉛、ビタミンD、たんぱく質は、どれも子どもの成長に欠かせません。足りていなければ、原因を確かめたうえで補うことが大切です。

ただし、成長に必要な栄養素だからといって、サプリメントで上乗せすれば本来より背が高くなるわけではありません。亜鉛やアルギニンには身長への効果をうかがわせる研究もあります。しかし、研究の対象、結果のばらつき、研究の質を考えると、健康な子どもの身長を伸ばす目的で使う根拠にはなりません。

身長の伸びが気になるときは、サプリメントを試す前に、これまでの成長の記録を成長曲線で確かめてみてください。


シリーズ「子どものサプリメント」

関連シリーズ

・乳幼児の栄養(準備中)


参考文献・参考資料

1. 日本小児内分泌学会. 「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解. 2013年3月29日公表, 2025年9月8日改訂.

2. Winzenberg T, Shaw K, Fryer J, Jones G. Calcium supplements in healthy children do not affect weight gain, height, or body composition. Obesity (Silver Spring). 2007;15(7):1789-1798.

3. Monfared V, Salehian A, Nikniaz Z, Ebrahimpour-Koujan S, Faghfoori Z. The effect of zinc supplementation on anthropometric measurements in healthy children over two years: a systematic review and meta-analysis. BMC Pediatr. 2023;23:414.

4. Imdad A, Rogner J, Sherwani RN, et al. Zinc supplementation for preventing mortality, morbidity, and growth failure in children aged 6 months to 12 years. Cochrane Database Syst Rev. 2023;3(3):CD009384.

5. Huey SL, Acharya N, Silver A, et al. Effects of oral vitamin D supplementation on linear growth and other health outcomes among children under five years of age. Cochrane Database Syst Rev. 2020;12(12):CD012875.

6. 厚生労働省. 令和6年国民健康・栄養調査報告. 2026. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/r6-houkoku_00001.html(2026年9月27日閲覧)

7. 厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書. 2024. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html(2026年9月27日閲覧)

8. Virú-Loza MA, Chávez-Nomberto RE, Hernandez AV. Efficacy of Oral Arginine as Treatment to Improve Height in Prepubertal Children With Idiopathic Short Stature: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sage Open Pediatr. 2026;13:30502225261433767.

9. 消費者庁. 健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について. 2016年6月30日制定, 2022年12月5日一部改定. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/assets/representation_cms213_230131_01.pdf(2026年9月27日閲覧)

10. 日本小児内分泌学会. 成長評価用チャート・体格指数計算ファイル ダウンロードサイト. https://jspe.umin.jp/medical/chart_dl.html(2026年9月27日閲覧)

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